2015年07月24日

No248 夏の京都で学ぶ "観光"と"戦争"展


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猛暑の京都で、2つの印象的な展示会に出会い、学びの心を満たされました。

ひとつは橋爪紳也コレクション「京都 モダン観光の誕生 〜嵯峨・嵐山の近代〜」展、もう一つは戦後70年特別展示「トランクの中の日本 〜戦争、平和、そして佛教〜」展です。


「京都 モダン観光の誕生 〜嵯峨・嵐山の近代〜」展は、大正から昭和初期の観光案内書や独特の雰囲気を感じさせる鳥瞰図から、嵯峨・嵐山地域の観光と近代化の歩みをたどるという試みです。

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日本旅行協会が1928(昭和3)年に発行した「京都名勝鳥瞰図」です。
洛中と洛外を一体とする大京都の姿を描いています。
社寺などの名所旧跡を中心として、鉄道や帝国大学、公会堂、浄水場、市場などが描かれており、近代都市として成長する京都の姿を見ることが出来ます。

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1928(昭和3)年に描かれた「洛西名勝交通図絵」です。
愛宕山を中心に保津峡、嵐山、太泰、北野などを範囲とし、清滝川と保津川が合流して桂川となる様を独特の構図で描いています。
名勝交通図絵とあって、左下には1両で走る嵐電北野線電車が、右には国鉄山陰線が走ります。

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1936(昭和11)年の嵐山電車と愛宕電車の「観光案内」です。
左は愛宕山鉄道のケーブルカーです。

大正から昭和初期にかけ、鉄道会社は乗客増を狙って遊園地などを積極的に開設しました。
嵐山周辺では愛宕神社のあった愛宕山山頂に遊園地が作られ、参詣と行楽の足として、山頂へ向かう電車やケーブルカーが大活躍しました。
信仰と行楽という新旧の時代が共存し、いわば今日で言う "ランドマーク" 化したわけですが、愛宕山への鉄道は1944(昭和19)年、劣勢の戦況の中で、遊園地とともに撤去されてしまいました。
京都観光の近代化に大きな役割を果たしたこうした施設の存在も、もはや資料の中でしか知ることは出来ません。

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京阪電鉄が1938(昭和13)年ころに発行した「秋の探勝読本」などの観光パンフレット類です。
鳥瞰図とともに、最先端をいく女性の井手達が、時代の空気をたっぷりと伝えてくれます。

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そして戦前の京阪電車の路線図と観光地案内です。
いまと異なる路線図と所要時間は、京阪電車の変遷そのものです。

ふだん私たちは、駅や観光地で配られている観光パンフレットなどを何気なく見たりやり過ごしていますが、時代が経つにつれ、そこから観光文化、地域経済の発展ぶりはもとより、往時の広告デザインや時代の空気を感じることが出来、ぞくぞく、わくわくしてしまいます。


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もう一つは、戦後70年の特別展として開かれている「トランクの中の日本 〜戦争、平和、そして佛教〜」展です。

1945(昭和20)年、米兵カメラマンのジョー・オダネルは、広島・長崎をはじめ、焦土と化した日本各地を撮影・記録しました。

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その中から非公式に私用カメラで撮影された300カットのうち、40点が展示されています。
パンフレットの写真は廃墟に立ちすくむ子どもなどのカットが使われていますが、実際の展示写真には、凝視出来ないほどの惨状世界も展開します。
アメリカ・ワシントンのスミソミアン博物館では、アメリカ国内の在留軍人の圧力で、写真の展示が実現しなかったほどの真実の記録です。

この写真展の凄いところは、カメラマンのジョー・オダネルが、展示写真の1枚1枚のすべてに、壮絶ともいえる当時の撮影状況の中、感じ取った戦争被害のむごさ、惨状な状況の中で生き続けるしかない人々の生き様と向き合った時の心境を、正直に、克明に、隠すことなく綴っている点です。


京都市内は場所柄、年間を通じて様々な催し、展示会が開かれていることが大きな特色です。
歴史文化や歌舞音曲はもとより、佛教、芸術、暮らし、食などなど、何でもありといった感じで、これが大きな魅力です。

京の社寺や観光地を訪れた時、ひとつ、ふたつと学びの時間を添えることも、京ならではの旅の楽しさです。

[撮影データ]
  〇「京都 モダン観光の誕生 〜嵯峨・嵐山の近代〜」展
     京都・嵐山「時雨殿」にて 
     平成27年8月23日まで開催 無料
     展示物の撮影は認められています。

  〇「トランクの中の日本 〜戦争、平和、そして佛教〜」展
     京都・北野天満宮近く「京都佛立ミュージアム」にて
     平成28年1月31日まで開催 無料
     展示写真の撮影は禁止されています。

  〇平成27年7月14日撮影

posted by 特急高尾号 at 15:01| Comment(0) | トピックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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