2017年04月14日

No334 車内広告の世界(60) 平成29年3月


電車内の吊り広告や駅構内の広告ポスターは、時代の空気を反映し、デザインやキャッチが最先端で見るものを飽きさせません。

そうした中から、毎月印象に残った作品を選んでお伝えしています。
今回は平成29年3月に出会ったポスターです。

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3月といえば卒業シーズン、そしてまもなく新年度のスタートの月です。
そうした中、JR山手線高田馬場駅改札口で、「ご卒業おめでとうございます。新天地でも頑張ってください!!」との巨大なポスターと対面しました。

お得意の、『む、む、むっ』 と近づいてみると、なんとも素敵な、心温まる手作りのポスターでした。
聞けば高田馬場駅は、あのマンモス大学、早稲田大学の最寄り駅で、『早大生は4年間(場合によってはそれ以上も!)乗っていただいた大切なお客様なのです』という言葉が返ってきました。

毎年この時期に駅員さんが協力して、卒業祝い・社会への旅立ちを祝する巨大手作りポスターを制作し、構内に貼り出すということです。
なんとも素晴らしい高田馬場駅の伝統に、しばし立ち止まり、作品に見入りました。

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3月、JRの車内やターミナル駅で、青地に白文字のこうした標語が溢れました。
大手保険会社の広告で、大学生や就活生を意識した、いわば "企業ステータス広告" と言ったところでしょうか。
近年、この時期のこの会社の定番で、ターミナル駅を賑わしています。

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こちらは設備サービス会社の、来年度の新卒者採用開始に向けた広告です。
「全力で何も起きない一日を。」というフレーズが、テロや事件・事故の不安、恐怖におののく現代社会の空気感を如実に示しています。

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こうした、不安を逆手にとった広告も見られました。
ポスターの作風としては、秀逸だと思います。

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この2枚は、大学のオープンキャンパスの広告です。
昔と比べると、デザインや内容が大違いです。特に下のものは、『う〜んっ』と唸ってしまいます。

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3月は首相夫人の名前が、毎日のようにニュースの世界で飛び交いました。関西の私立学園の国有地売買に関するニュースでした。

一方左側はテレビの看板長寿番組で、不適切な表現があったことによる記事タイトルです。
何事も "長期君臨" は、おごりや油断、脇の甘さが露呈するリスクが潜んでいることを知らしめています。他山の石 としたいものです。 

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3月最後は、これです。
遠目に見て目立つ存在でしたが、何の広告かはすぐに分かりませんでした。

神奈川県にあるリゾート遊園地の、アジア&日本初上陸の巨大クライミングアトラクションの広告でした。
そういえば2020年の東京五輪で、スポーツクライミングが正式種目になりました。
そうしたことも、レジャー施設での巨大クライミング初登場の背景にあるのだろうなと、車内天井を見上げて思ったことでした。

3月は何といっても、冒頭の駅員手作りの "旅たち応援広告" でした。
暖かい応援は、気持ちを和ませます。

[撮影データ]
 〇首都圏鉄道 駅構内・車内吊り広告から
 〇平成29年3月撮影

posted by 特急高尾号 at 00:25| Comment(0) | 車内広告の世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月10日

No333 "大人の修学旅行" 都電荒川線B


今回は、「"大人の修学旅行" 都電荒川線を楽しむ」の3回目をご覧いただきます。

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きょうは前回訪問地の飛鳥山のお隣り、JR王子駅隣りにある王子駅前電停から、終点の三ノ輪橋を目指します!。

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私を待ち受けてくれたのは、こんなに素敵な電車でした。
実はこの車両、荒川線全車両38両のうち、特別に2両だけ存在する "お宝電車" なのです。
それというのも車体は昭和初期の車両を模したレトロ調、台車やモーターなどの機器は最先端という、平成19年生まれの都電の観光利用促進用の豪華新造車両なのです。

この日は祝日とあって、前面に国旗をかざした正装での登場でした。
都電ファンの私が『やったぁっ!』と飛び上がって喜んだのは言うまでもありません。

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しかもお花見シーズンとあって、車内は桜の飾りや提燈などで飾り付けられ、木目調やフローリング仕様、白熱灯色の照明と相まって、雰囲気は春満開、満点でした。

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出発進行!。いい感じです。
きょう最初のお出かけは、王子駅前から3つ目の荒川車庫前です。

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荒川車庫です。
電停前の公道から、車庫に出入りする電車が手に取るように眺められ、飽きることがありません。
ここは車庫だけでなく、車両の検査や洗浄も行い、営業所もある都電荒川線の心臓部です。

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荒川車庫脇の小道に入ると、車庫がご覧のように丸見え、いやいや、道路から中を見ることが出来ます。時々入れ替え作業なども行われていて、お子様ならずとも、大人が見ても十分に楽しめます。

この車庫は住宅地のど真ん中にあり、大変珍しい光景だと思います。
きっと100年以上の歴史を誇る荒川線ですから、先に車庫、後から車庫の周辺に住宅が建ち並んだのだと思います。

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この荒川車庫に併設して、「都電おもいで広場」が整備されています。
左のPCCカーと呼ばれる5501号は、なんと戦後から10年も経っていない昭和29年の登場です。
この時代にこの独特の流線形デザイン、スタイルには脱帽です。台車も見えなくするための、"スカート" もはいています。

低騒音で高加速という最先端技術をアメリカから直輸入し、当時の都電の看板路線、上野−銀座−品川間で運転されました。

都電が都民の移動手段として最も利用されていた時代の誇りと自信、先進的取り組みの姿勢をうかがわせる、まさに都電全盛期の "有形文化財的車両" と言えます。

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土休日には車内も公開され、都電が全盛だった昭和30〜40年代の懐かしい写真や乗車券、停留所看板など、多くの資料に触れることが出来ます。

さてさて都電のお勉強はこのくらいにして−、次は遊園地訪問です。

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荒川車庫前からひとつ隣りの荒川遊園地前に降り立ちました
電停から隅田川方向へ向けて住宅地の中を歩いて5分、初めて訪問する「あらかわ遊園」が見えてきました。

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中に入ってびっくり!。
広い敷地に、あるは、あるは、昔懐かしい遊園地の乗り物が−。

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遊園地といえばこれ、観覧車です。
高さ32メートル、1周7分で、東京スカイツリーも手に取るように見えます。一つひとつの籠は小さいですが、あらかわ遊園のシンボルです。

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イモムシの形をしたこの可愛いジェットコースターの最高速度は、なんと時速15キロ。
日本一遅いジェットコースターなので、3歳の子供から乗車がOKです。
一番の人気だそうです。

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こちらは「コーヒーカップ」。
カップの中に人が乗って、コーヒーカップがグルグルと回る、あれです。
回転する器が "コーヒーカップ" というところが、当時の時代の空気感を感じさせます。コーヒーは当時、まだ洒落た大人の贅沢な飲み物でした。
年配の方は、子ども時代の体験を思い出すと思います。

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遊園地の華−。
お馬さんがグルグル回る、メリーゴーランドもあります。
まるで、"アナログ ランド" です。

ディズニーランドのような最先端の乗り物、大規模なイベントショーはありませんが、ここには昭和時代の空気感、素朴な遊園地の原点とも言うべき光景がありました。いつも親子連れやカップルで、この賑わいだそうです。

それもそのはずで、この遊園地は都内唯一、地元東京・荒川区が運営する区立遊園地でした。
入園料は何と大人200円、小学生は平日無料、土休日は100円、のりもの券も1枚100円という優しさです。
園内には、動物広場や都電資料館もありました。

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交通機関は路面電車の荒川線しかない中で、これだけの施設、賑わいの遊園地があるとは…。
大きな驚きとともに、何か下町の人々の暖かい人情のような空気感、遊園地で遊んでいるとはいえ、何か人々が無意識の連帯感で結ばれているような感覚を覚えました。

全国でも珍しい公設公営の「あらかわ遊園」は、2020(平成32)年には開園70周年を迎えます。
あの頃の記憶にもう一度戻れる、貴重なスポットです。

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いよいよ最後は荒川線の終点、三ノ輪橋へと向かいます。

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三ノ輪橋電停です。
2007(平成19)年にレトロ調にリニューアルされ、関東の駅100選にも指定されています。
停留所の木製壁面にはオロナミンC、ボンカレー、金鳥かとりせんこうといった昔懐かしいホーロー製の本物の看板が掲げられていました。
こうした年代ものに対面すると、嬉しくなってしまいます。

電停脇には「ジョイフル三の輪商店街」があり、500m近いアーケードには老舗を始め、総菜や生鮮食料品などを扱う130を超える商店が…。

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どんなお店が印象に残るかは人それぞれ。思い思いに楽しんでください。最近は東南アジアからの観光客も訪れるという事です。

アーケード脇の路地からは、荒川線のこんな姿も…。
東京・下町の雰囲気がいっぱいでした。

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3回にわたってお伝えした「 “大人の修学旅行" 都電荒川線の旅」 はこれで終わりです。

荒川線の沿線は、江戸の時代から賑わいの地として栄えた社寺や繁華街、また国の重要文化財や博物館、公営遊園地、都電おもいで広場、レトロな商店街などなど、魅力いっぱいのスポットが数多く存在し、飽きることを知りませんでした。
まさに“大人の修学旅行” にぴったりでした。

1日乗車券はたったの400円!。
撮るもよし、乗るも良し、沿線ぶらり見て歩きも良し、楽しみ方はまさにいろいろです。
初夏と秋、沿線は13,000本ものバラでいっぱいになります。開業100年をゆうに超える都電荒川線の旅を、ぜひ楽しまれてください。

[撮影データ 1〜3回分]
  〇都電荒川線 沿線史跡・観光地ほか
     〇平成29年3月12、20日、29日訪問 
[ご参考]
[参考資料]
  〇各回の記事では、地元自治体発行の観光地資料、
   現地掲示の解説板、東京都交通局荒川線関係資料などを
   参考とさせていただきました。

posted by 特急高尾号 at 11:13| Comment(0) | 街角アラカルト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月30日

No332 "大人の修学旅行" 都電荒川線A


前回に引き続き、「"大人の修学旅行" 都電荒川線を楽しむ」の2回目をご覧いただきます。

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今回は、前回昼食をとった「庚申塚(こうしんづか)」電停周辺をまず楽しみ、次いで4つ先の「飛鳥山(あすかやま)」方面に向かいます。

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庚申塚電停です。
ホームにある、停留所ポールに注目して下さい。
かつて多くの電停で見られた懐かしのポールが、ここでは綺麗に整備されて現存していました。赤地に白文字の停留所名に、ぞくぞくです。
アナログの埋め込み式時計も健在でした。

一般の利用者の方々にはどうでもいいことかもしれませんが、都電ファン&街角ウオッチャーにとっては、まさに昭和の薫りを今日に残す、都電の貴重な "有形文化財" 的存在なのです。大真面目に(笑)。

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午後の強い日差しに照らされている、庚申塚電停前の踏切です。
遮断機の中を、のそり、のそりと低速で横切る路面電車−。
そして自転車に乗って通過待ちする多くの人たち−。
路面電車の通過する時間が惜しまれるような、慌ただしい暮らしの中で忘れかけているような、のどかな時間がとてもいい感じでした。

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この踏切を渡って直ぐの交差点の角で、江戸時代から栄えたという、巣鴨猿田彦大神庚申堂に出会いました。

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現在の御本殿に祭られている庚申塔は、1502(文亀2)年のものに続いて、1657(明暦3)年に建立されたという事です。

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この地は江戸時代の中山道の江戸と板橋宿の中間地として栄えました。
広重の絵や斎藤月岑の江戸名所図会にも描かれており、多くの旅人で賑わったと、現地の庚申塚由来記などに記されていました。
上の写真は現地の石碑に刻まれている、江戸名所図会の「巣鴨の庚申塚」の賑わいの様子です。

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そしてここ庚申塚からは、お隣り "とげぬき地蔵" まで、まっすぐ道が繋がっています。
東京のおじいちゃん、おぱあちぁん(おっと失礼!)、シルバーエイジの皆さまの憩いの場として知られる巣鴨地蔵通商店街があります。庚申塚から巣鴨駅までの800メートルに、約200のお店がぎっしりと立ち並んでいます。

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その中央にあるのが、通称「とげぬき地蔵」として名高い、曹洞宗萬頂山高岩寺です。1596(慶長元)年に江戸神田湯島に創建され、のちに下谷屏風坂に移り、さらに1891(明治24)年に巣鴨に移転してきました。

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境内には自分の悪いところを水で洗うと治るという「洗い観音」もあって、シルバーエイジというよりは、信仰深い老若男女の方々で賑わっていました。

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さて庚申塚を後に、電車は専用軌道をガタゴトと音を立てながら、一路飛鳥山へと向かいます。
電車が通過直後の踏切を自転車で渡る親子の姿が、なんともいえない長閑な空気感を演出しています。まるで時間が止まっているような光景です。

そしてお気づきでしょうか。
この日は国民の祝日、春分の日でした。電車は正面に2本の国旗をなびかせています。都電が公営交通であることを如実に示す、年に数回だけ見られる姿です。

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飛鳥山電停の真向かい、飛鳥山公園を背景に走る都電荒川線です。
後方の木々は桜並木で、例年3月下旬から4月上旬にかけ、満開の桜と荒川線の見事なコラボレーションが楽しめます。

JR王子駅にも近い飛鳥山公園は、北区にある区立公園です。
江戸時代、時の八代将軍徳川吉宗が「享保の改革」の一環としてこの地に多くの桜を植樹して整備。当時桜の名所では禁止とされていた酒宴や仮装を容認したことから飛鳥山は人々の行楽地として人気を集めたようです。
以来今日まで、飛鳥山公園は東京下町の花見名所として、また憩いの場として多くの人々に親しまれています。

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そしてもう一つ、このユニークな乗り物は何?、だと思いますか。
じつは飛鳥山公園には、全国でも珍しい地元自治体(東京・北区)が運行するモノレールが走っています。
座席6名、立ち席10名、定員合計16名のミニミニ車両が、地上と山頂の標高差がわずか17.4m、山頂まで48mという超短い区間を2分間かけて行ったり来たりしています。

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私は初めて乗車したのですが、荒川線の路面電車にも抜かれてしまう超スローな運転は、なかなか得難い、楽しい乗車体験でした。
そうそう、このモノレールは無人の自動運転でした。

そしてさすが「公営モノレール」!。
運賃は子どもならず大人も「ただ」という、お財布にはとても優しい優れものでした。都電とモノレール、両方とも東京都と北区が運営する公営交通という点も微笑ましい限りです。

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そのモノレールに乗って山頂にたどり着くと、開放感いっぱいの素晴らしい景色が迎えてくれます。

写真中央は、北陸新幹線と長野新幹線の併結列車です。
この場所は東京駅から発車する東北・北海道・山形・上越・北陸・長野新幹線の全ての列車が次から次へと通過していきます。
少年鉄道ファンはもとより、大人の撮り鉄さんもカメラを構えていて、その道の方々の絶景ポイントと見てとりました。

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飛鳥山公園の山頂には子どもたちの遊びの広場がありますが、ここにはなんと3つもの博物館があり、驚いてしまいました。

世界有数のユニークな紙専門の「紙の博物館」、北区の郷土歴史を多角的に学べる「飛鳥山博物館」、そして−

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ご覧の、近代日本の経済社会の基礎を築いた渋沢栄一の「渋沢資料館」です。

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晩香蘆(ばんこうろ)と呼ばれる旧渋沢庭園に残る大正期建築の渋沢栄一の小亭(写真:上)と青淵文庫(せいえんぶんこ)は、国の重要文化財に指定されています。

それぞれ規模も大きく内容も充実しており、まさに "大人の修学旅行" にぴったりの3博物館でした。
もう私の頭の中は知識があれこれ満艦飾となり、少々お疲れになってしまいました(笑)。

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"大人の修学旅行" 、都電荒川線の2回目はそろそろ終わりです。

前回訪れた鬼子母神、そして今回の庚申塚、とげぬき地蔵、飛鳥山公園は、それぞれ江戸時代から今日まで続く賑わいの地でした。
都電で唯一残存している荒川線が、そうした過去から現代まで続く賑わいの地を結んで走り続けているのは、何かの因縁かもしれません。

そうしたことに思いを馳せられることが、 "大人の修学旅行" の楽しさ、醍醐味のように感じました。

[撮影データ]
  〇都電荒川線 沿線史跡・観光地
    庚申塚庚申堂 / 巣鴨 "とげぬき地蔵" / 飛鳥山公園
     〇平成29年3月12、20日、29日訪問 
[ご参考]

(次回につづく)

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2017年03月24日

No331 "大人の修学旅行" 都電荒川線を楽しむ


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東京都内にも路面電車が−。
現在都内には都電荒川線と東急世田谷線の2路線が残存しており、それぞれの地域で貴重な交通手段として役割を果たしています。

そのうちの一つ、都電荒川線を旅してきました。「"大人の修学旅行" 都電荒川線を楽しむ」と題してご紹介します。

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都電荒川線は早稲田大学脇の新宿区早稲田からJR山手線大塚駅、JR京浜東北線王子駅、京成電鉄・東京メトロ町屋駅を経由し、浅草にほど近い荒川区三ノ輪橋まで、東京の城北地域から下町までを結ぶ全長12.2kmの路線です。

沿線は戦災に遭わなかった地域が多く、都内を走るものの古い東京の街並みや商店、風情を色濃く残し、味わい深い人々の暮らしぶりを垣間見ることが出来ます。

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都電荒川線はもともとは都電ではなく、100年以上も前の1911(明治44)年に開業した王子電気軌道株式会社、通称 "王電"と呼ばれた私鉄の郊外電車が発祥でした。
戦時下の昭和17年、時の電力・交通統制により、東京市(現東京都)に事業が譲渡され、都電となりました。

昭和の時代、本家本元の都電がモータリゼーションの荒波を受け次々と廃止された中で、皮肉にも私鉄から都電に編入された荒川線だけが今日まで生き延びてこられたのは、ご覧のように荒川線の線路の大半は、自動車と分離して走ることが出来る都電の「専用軌道」のためでした。
自動車に行く手を阻まれずに運転が出来るという、まさに "王電" が敷設した専用軌道が、時代の荒波から身を助けたというわけです。

因みに東京にもう一つ現存する路面電車、東急世田谷線も同様に、専用軌道を走る路線です。

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荒川線の授業はこのくらいにして、まずは最初の訪問地、「鬼子母神前」を目指して早稲田を出発です。

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新宿区と豊島区が隣り合わせとなる「学習院下」電停付近です。
山手線の内側、都心部にありながら、昭和40年代と何ら変わらない光景が続きます。
この独特の空気感が、都電荒川線の魅力です。

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「鬼子母神前」−。
停留所名とこの字並びが、独特の期待感を高めてくれます。
いよいよ最初の訪問地です。

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都心のビル群や古い住宅街に囲まれた中に、350年前の1664(寛文4)年に建立された「雑司ヶ谷 鬼子母神堂」はありました。

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ご尊像の鬼子母神は、安産・小育(こやす)の神様として、江戸時代から人々の信仰対象として崇拝されてきました。
昭和35年には東京都有形文化財の指定を受けていますが、江戸時代の徳川大名家による寺社造営の観点から歴史的・意匠的な価値が高いとされ、昨年(平成28年)7月に改めて国の重要文化財に指定されました。

その境内で、こんな素敵なお店と店主にお会いしました。

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店の看板に創業1781(天明)元年と記された江戸時代から続くこのお店は、駄菓子屋さんでした。
店主はなんと13代目という元気なおばあちゃん。店先は、私たちが子ども時代に食べた懐かしの袋菓子などで満艦飾でした。
街角ウォッチャーの私はもうびっくり!、びっくり!!。飛び上がらんばかりに興奮してしまいました。

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きなこ飴やあんこ玉、ラムネ菓子、イカやタラの加工品、ビニールにくるまれたチーズやゼリー菓子などなど、その大半が1個11円や33円といった単位でバラ売りされています。

上の籠のお菓子は、私が買い求めたもの。
九州福岡・久留米の黒棒(クロボー)、懐かしのココアシガレット、着色されているゼリー菓子、それに爆弾あられなどと呼ばれる米粒を膨張させて作られたぽん菓子です。昔、屋台や夜店でよく見られた、パンパン、ポンポンと破裂音を出して作られていた、あれです。
全部1個33円でした。
まるで昭和30年代にタイムスリップしたかのようです。

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この境内とこの雰囲気−。もう最高でした。
国の重要文化財に指定された鬼子母神の神様には申し訳ないのですが、私はこちらの駄菓子屋さんに、ぞっこんとなってしまいました(笑)。

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そして想定外の出来事が−。
ご覧の建物は漫画家手塚治虫さんが豊島区南長崎(当時は椎名町)のトキワ荘を出た後、昭和29年から結婚する昭和33年10月まで、居住兼仕事場として暮らした「並木ハウス」です。

なんとこの「並木ハウス」が、鬼子母神堂脇にある大門欅並木を一歩入った所に現存していたのです。外装は小奇麗に改修されていますが、建物は当時のままだという事です。

331-17 都電荒川線の旅 並木ハウス  29.3.17.gif

想定外の、突然の対面でした。
この住まいの2階、右の角部屋で、鉄腕アトムや火の鳥が描かれていたと思うと、熱烈な手塚ファンの私は身震いと興奮に包まれました。

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331-18 都電荒川線の旅 庚申塚 29.3.17.jpg

最初の訪問地、鬼子母神堂だけでこんなに楽しい体験の数々−。
お腹がペコペコになった私は「庚申塚」電停ホーム上にある甘味処で、名物の焼きそばとおはぎの昼食です。
飲み物は、"大人の修学旅行" の、興奮の鎮静剤です。

路面電車ホーム直結の甘味処で、昼間から電車を眺めながらビールが飲めるなんて、全国広しと言えども都電荒川線だけの世界ではないでしょうか。
"大人の修学旅行"の、至福の時間でした。

[撮影データ]
 〇都電荒川線沿線
 〇平成29年3月12日、20日訪問
 〇「並木ハウス」
   鬼子母神堂脇  大門欅並木内の「雑司ヶ谷案内処」横を入る。

(つづく)

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2017年03月15日

No330 "おもてなし" 巨大自動券売機がお目見え


330-1 巨大自動券売機 都営大江戸線都庁前 29.2.22.jpg

東京の都営地下鉄大江戸線都庁前駅で、ご覧のような巨大モニターの自動券売機にお目にかかりました。

330-3 巨大自動券売機 都営大江戸線都庁前 29.2.22.jpg

通常、駅の券売機のモニターは15インチですが、これはなんと32インチもあるジャンボ版。右側に見えるこれまでの券売機と比べると、いかに券売機のモニターが大きいかが分かります。
最初に見た時は全体のバランスの中でモニターだけが異様に大きく、一体何だろうと思いました。

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実はこの "ジャンボ機"、都営地下鉄と東京メトロが共同開発した、海外からのお客様に分かり易く使い易い、おもてなしの気持ちを込めた最新式の自動券売機でした。

一般乗車券やお得な1日乗車券、回数券、PASMO、チャージはもちろん、言語はなんと英語、中国語(2文字対応)、韓国語、フランス語、スペイン語、タイ語の7言語に対応する機能を持つということです。

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試しに操作してみると、東京メトロも含めた東京の全地下鉄路線図と全駅の駅ナンバリング、それに路線ごとのラインカラーとアルファベット記号が表示され−

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さらに驚いたことに、駅のアルファベット検索はもとより、浅草や六本木、築地市場、東京スカイツリーなど、東京の観光地から乗車路線、下車最寄り駅を逆引きすることも可能な便利機能画面も出てきました。

上の画面では、都庁前から浅草に至るまでの乗車ルートと最寄り駅、運賃が示されています。
これまでは主要駅にいるコンシェルジュが説明してきた部分も、自動券売機で説明可能と言う訳です。

大型ジャンボモニターの成せる技ですが、しかしあまりにも便利に、何でもかんでも自動券売機に押し込むと、きっと一人ひとりの操作時間が長くなり、行列が出来てしまうかもしれませんね。

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それはともかくとして、この便利なジャンボ券売機、今月中には外国人観光客の多い浅草、六本木、東銀座など都営地下鉄の30駅へ順次設置していくという事です。
もちろん日本語メニューもあるので、一度試してみるのも一興です。

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日本語だけしか分からない私としては、パリやニューヨークの地下鉄にも、逆に日本人観光客向けにこうしたサービスを願いたいと思うのは、少々我が儘でしょうか。

[撮影データ]
  〇都営地下鉄大江戸線 都庁前駅 
    訪日客用 大型ディスプレー付き多機能自動券売機
  〇平成29年2月22日撮影

posted by 特急高尾号 at 21:06| Comment(0) | 鉄道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月08日

No329 車内広告の世界(59) 平成29年2月


電車内の吊り広告や駅構内の広告ポスターは、時代の空気を反映し、デザインやキャッチが最先端で見るものを飽きさせません。
また時々の人々の、暮らしの空気感も伝えています。

そうした中から、毎月印象に残った作品を選んでお伝えしています。
今回は平成29年2月に出会ったポスターです。

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首都圏を走るJRの電車内です。
「TICKET TO TOMORROW」の文字が躍ります。遠目には、何のことかわかりません。
例によって『む、む、む。いったい何の切符のことかいな…』と近づいて見ると、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのオフィシャルパートナーのひとつ、JR東日本の広告でした。

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添えられている説明によれば、「TICKET TO TOMORROW」とは "未来のキップ" のことで、転じて2020年に東京五輪を迎える私たちは、全てのひとが笑顔になれる世界にするために一歩ずつ進化していこうと呼びかける内容のものでした。

鉄道ファンの私としては、最初は何か特別な乗車券のことかなと早とちりしてしまいましたが、アピールの内容はともかく、広告デザインとしてはとても強く印象に残るものでした。

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毎月の最終金曜日は、午後の早い時間に会社業務は終業とし、従業員は早帰りが出来る社会的仕組みを作ろうという、「プレミアムフライデー」がいよいよスタートしました。

消費拡大や景気回復を目指す政府肝入りの取り組みですが、皆さまの周りはいかがでしたか。
電車内の広告では、「プレミアムー」に取り組む企業がまだ少なかったり、世間の事前反応が不透明であったためか、思ったほどの広告は見当たりませんでした。

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宝くじの一種、LOTO7の広告ですが、もう「10億円」の数字に驚く人は、世の中にはあまりいないように見受けられます。
懸賞金の数字は上昇の一方ですが、もう60年以上も生きているわたしは、宝くじやこの手のくじで10万円以上の賞金を得たと豪語する人には、まだ一人たりとも出会っていません。

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「シンプル イズ ベスト」を、まさに地で行くような、まさに教科書のような作品です。
見ているものの気持ちまで、すっきりとさせてくれます。

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広告の世界は、犬や猫が大人気−。
子猫に癒されたい若い女性を狙ってか、旅関係サイトの広告にも登場です。
型犬を使い、現在も続いている通信大手の広告が風穴を開けた、あるいは新風をもたらした広告の世界です。
車内を見てみると、あっちにも、こっちにも、子猫を扱った広告が…。

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こちらは電力自由化の広告です。
よく見ると、「中国電力」とあります。広島地方の電力会社の広告が、首都圏の通勤電車内で踊っていました。

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今月最後は、これです。
いよいよ春到来。Jリーグも2017シーズンの開幕です。


先月に比べると、今月はパンチの効いた作品が少なく、少々寂しい感じでした。
やはり昔から言い伝えられている、2月、8月は客足が落ちるという世間でいう "二八(にっばち)現象" の影響が、車内広告の世界でも如実に反映されているのかも知れません。

[撮影データ]
  〇首都圏鉄道 車内吊り広告から
  〇平成29年2月撮影


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2017年02月25日

No328 都営交通 新聞全面広告の心意気−。


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2月23日(木)の東京新聞朝刊を見ていると、ご覧のような広告が目に飛び込んできました。
なんと1ページ全部を使った全面広告で、路面電車の都電が大きく写っています。

「さようなら都電7000形記念バス」とあり、副タイトルには、  “失われつつあるものは、美しい。在りし日のルートに記念バスが走ります。” とあります。

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乗り物好きの私は例によって、『む、む、む、何だこれっ!』と、さっそく反応します。

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この7000系路面電車は、昭和29年から63年間、東京の街中を走り続けてきたのですが、いよいよ最後の職場、都電荒川線でことしの春に引退を迎えるということです。

引退を記念し、在りし日の活躍ルート、日本橋−銀座間を7000系に模したバスが、引退の記念走行を行うという広告で、発注主は東京都交通局でした。

最近の鉄道やバス車両では、こうした昔のヒーローを懐かしみ、往年の車体色を再現したり、引退の際には大々的にお別れ運転を行うといったことが、ブームになっていますね。

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もう都電の存在すら知らない若い都民が多い中で、東京のローカル紙とはいえ、新聞に1ページ大の広告です。

大変な想い入れと思いきや、都営交通は昨年夏に105周年を迎えており、この広告は公営交通としての存在感のアピール、発信力強化の一環として行われたことが分かりました。

年配者としては、ほんとうにびっくりした広告ではありました。


[撮影データ]
  〇「さよなら都電7000形記念バス」運転広告
  〇平成29年2月23日 東京新聞朝刊広告

posted by 特急高尾号 at 11:30| Comment(0) | 鉄道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月16日

No327 駅ホームの景観が変わる ベンチ新配置


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東京・多摩地区を走る私鉄電車の駅ホームです。
ことしに入り次々とホームベンチの更新が行われていますが、なんとこれまでの発想を根本から変えた新方式の配置ベンチが登場し、利用客を驚かせています。

分かりますか−。
これまでホームベンチといえば、電車と平行に設置されていました。
ところがどうでしょう。このベンチは電車と直角、縦型に配置されています。

最近はホームで電車に接触したり、ホームから線路に転落する酔客の事故が多いため、接触・転落事故防止の決定打として考案されたそうです。
どうやら酔客はベンチから立ち上がると、そのまままっすぐに歩き始めてしまい、電車に接触したり線路に転落するというケースが圧倒的に多いということです。

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こうした傾向はJR西日本と大阪市交通局の分析で分かったという事です。
JR西日本では2015(平成27)年から順次工事を始め、既に新大阪駅や金沢駅など189駅でこうした新方式のベンチを設置しているそうです。

どうやらこの新方式が首都圏にも飛び火しつつあるようで、JR東日本では新宿駅と品川駅の特急発着ホームで、また私鉄の京王電鉄でも昨年から今年にかけて、一部駅で設置を開始しています。
関西とは異なり首都圏では乗降客が多く、ホーム幅が広くないとこうしたベンチ配置はかえって危険で難しいようですが、それでも今後はじわりじわりと増えそうです。
利用者の感想は、なかなか新鮮、いやいや違和感ありなど、まちまちのようです。

でも何だか、少し駅の光景が変わったようにも見えます。
オーバーに言えば、開業当初の明治・大正時代から続いた列車に平行に設置するホームベンチが、いままさに直角に、90度も大転換したわけですから、これはもう開業以来の出来事といってもいいのかもしれません。

[撮影データ]
   〇駅ホームベンチ 新方式の縦型、垂直配置
   〇京王電鉄めじろ台駅 北野駅
    平成29年1・2月

posted by 特急高尾号 at 18:54| Comment(0) | 街角アラカルト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月06日

No326 車内広告の世界(58) 平成29年1月


電車内の吊り広告や駅構内の広告ポスターは、時代の空気を反映し、デザインやキャッチが最先端、またその時々の人々の暮らしの空気感も伝えています。
そうした中から、毎月印象に残った作品を選んでお伝えしています。
今回は平成29年1月に出会ったポスターです。

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年末から年始にかけ、日本の鉄道車内は、こうした広告で溢れます。
各路線ごとに、沿線の神社仏閣の「初詣」広告合戦の様相を呈します。

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こちらは沿線の神社仏閣合同での広告です。
いわば伝統的手法の、おとなしいタイプとでもいうべきものです。
初詣の広告は若い女性の晴れ姿が定番で、なかなか革新的なものにはお目にかかれません。

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首都圏のターミナル駅では、近年お馴染みとなった「箱根駅伝」の巨大ポスターです。
車内吊り広告サイズでは物足りないとばかりに、駅広告スペース壁面にどか〜ん!と毎年登場し、利用者の目を楽しませてくれます。

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お正月の車内吊り広告のもう一つの定番は、デパートや商業ビルの新春バーゲンですね。
この広告は年々増えており、神社仏閣とは異なり、多種多様です。

こちらは若者の街、東京・吉祥寺の最も新しい大規模小売店(商業ビル)の広告です。70%OFFなど凄い数字がありますが、デザイン的には若い人のハートを掴めるか心配です。

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若い人に人気のある、もはや老舗に近いJR駅ビル直結の商業ビルの広告です。
バーゲンの骨格、値引き率の数字は一切ないという正反対の例です。お客様は皆んな知っていることという、自信の表れでしょうか。

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こちらは昭和の時代から続く、元祖商業ビルの広告です。ロゴだけで訴求力のある、いわば伝統の証しでしょうか。

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新春バーゲンは、商業ビルだけでなくデーパートにとってもかき入れ時です。

新宿駅西口に並ぶ、二つのデパート広告を見てみます。
これがデパートの広告かと思うほどのセンスです。
余計な要素はありません。バーゲンであっても高級感を感じさせ、女性裕福層をターゲットにしているようでもあり、またデパート自身の感性のアピールも兼ねているようにも感じます。

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一方こちらはお隣のデパートです。
バーゲンではなく、「CLEARANCE」としたものの、全体として昭和時代から続く伝統的な雰囲気です。
「CLEARANCE」にルビがふってあるところも泣かせます。
売り上げは、どちらが良かったかは調べていません。

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さてお話し代わって、車内にはこんな広告が登場していました。
文字だけの1色使いの広告を2枚並べています。とても目立ちました。
『何、これっ』と見てしまいます。日本最大級のファッション通販サイトの広告でした。

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今月はこんな楽しい広告が、空(頭上)から現れました。
在京キー局のテレビ番組の宣伝です。
"悪には強いが、妻には弱い「スーパーサラリーマン」" は、背中に妻を乗せ、両手にトイレットペーパーを持って大東京の上空を飛来しています。
楽しい広告でした。

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この広告は、これまでに見たことのない奇抜さと秀逸さでした。
左下に、千葉県・浦安にあるディズニーリゾートの施設名とイベント名、期日だけが、さりげなく記されています。

そしてキャラクターは絵ではなく、子どもが付けて遊ぶ顔のお面のような、セルロイド製のような立方体で作られています。触って確かめるお客様もいるほどでした。
これが頭上で浮遊しているのですから、お客様の注目を集めるどころか、スマホで写真を撮る若い人たちの姿が見られました。

今月は、新春バーゲン広告の品評、そして頭上からは想定外の広告の飛来物−。楽しませてもらいました。

[撮影データ]
  〇首都圏 鉄道車内広告・駅構内広告から
  〇平成29年1月撮影

posted by 特急高尾号 at 22:29| Comment(0) | 車内広告の世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月27日

No325 ものの力 改めて 〜 It's a Sony展 〜


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東京・銀座のソニービルで、いま「It's a Sony展」が開かれています。

会場にはソニーの前身、1946年創業の東京逓信工業時代から70年を経過した今日に至るまで、世界を駆け抜けた年代ごとのSONY製品、もちろん本物が、まるでタイムマシーンに乗って戻ってきたかのように展示されています。

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1950年代、昭和20年代半ば〜30年代半ばの、SONY製テープレコーダーや放送局用のデンスケ(ショルダー型レコーダー)です。
手前中央のデンスケには「KBC」とありますから、九州朝日放送で使われたものだと思います。
左側には、懐かしの6ミリ磁気録音テープ、オープンリールも見られます。1950(昭和25年)製です。

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1960年代、昭和30〜40年代に入ると、カセットテープレコーダーを−、

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そして世界に先駆け「ソニー トランジスタテレビ」と名付けた携帯用ポータブルテレビを登場させます。
当時の新聞広告には、「ニッポンの誇りが、また一つ! 携帯用テレビ」とあります。

持ち運び可能、野外でも映るこのテレビを記憶している人は、団塊の世代を軸に、その前後を生きてきた人々のはずです。丸みを帯びたこのデザインには、新時代の到来を感じたものです。

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70年代、昭和40〜50年代はカラーテレビの大普及時代を迎え、テレビはリビングや応接間だけでなく、子ども部屋や寝室にも姿を現しました。

このころのSONYのスーパースター、「トリニトロン カラーテレビ」です。
今日の大きな液晶テレビを思えば、13インチという今では信じられないような小型テレビですが、各家庭では大きな宝物でした。
チャンネルを変えるダイヤル…、画質を調整する4つのツマミ…。ガチャガチャとチャンネルを回す操作感と音色は、今でも鮮明に覚えています。

私は初任給から半年の積みたて期間を経て、満を持してこのトリニトロンカラーテレビを購入しました。

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そしてカラーテレビの登場とともに、家庭でもテレビ番組の録画を可能とするビデオテープレコーダー、いわゆるビデオデッキも登場しました。
録画や再生は、ピアノの鍵盤を模したようなボタンを押して行うものでした。覚えていますか−?。

家庭用ビデオテープレコーダーは、それまでテレビは「生で見る」というスタイルを根本から変え、後からでも自分の好きな時間に見られるという、新しいライフスタイル、文化までを産み出しました。

手前の黒い箱は、番組を録画する、ベータマックス規格対応のビデオテープです。世界初の家庭用ビデオカセットです。
このベータマックス規格テープ、そしてもう一つの雄、日本ビクターが開発したVHSテープが日本の家庭に溢れる時代の始まりでした。

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1979年、SONYは遂にカセットテープによる携帯型テーププレイヤー「ウォークマン」を発売。
"ウォークマンと言えばSONY" という、世界に冠たる商品の登場です。

ワイヤレス商品が登場するまでは、ヘッドホンはまだケーブルでウォークマンと繋がっていましたが、野外で好きな時に、歩きながら、どこでも音楽が聞けるという福音を、SONYは私たちの暮らしにもたらしてくれました。

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80年代、昭和50〜60年代に入ると、ウォークマンは全盛時代を迎え、さらに世界初のポータブルCDプレイヤー、それにパスポートサイズを大々的に謳った8mmビデオカメラなど、次々と革新的な製品を世に送り出しました。

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会場では、その後の90年代から2000年、平成時代に至るまでのデジタル機器やPC製品、AIBO(アイボロボット)などへと繋がる技術変遷、進化を見つめることが出来ます。


さてこうした懐かしい品々に出会うという事は、どのような意味を持つのでしょうか。

会場では、カセットテープを見て、「え〜っ、これがカセットテープなの!」と驚く若いカップルもいれば、オープンリールやビデオデッキを見て、こうした品々に夢中になったことを懐かしむ中年世代が、さらに高齢者の中には直立不動の姿勢で半世紀前の製品に立ちすくむ人も見られ、人々のSONY製品に対する強いオーラが感じられました。

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会場を訪れたすべての人たちが、一人ひとり異なる表情を浮かべながら製品を凝視する姿には、他の展示会では見られない濃厚、濃密な空気感を感じました。
製品を懐かしむ意識、世界観、意味合いは人それぞれに異なるものの、一様に "It's a Sony" の製品群に惹き込まれています。

大量生産される日用工業品はたしかに「物」ですが、時空を越えると、単一企業SONYという枠を越えた、時代の語り部、伝道師という役割りを担うようです。
そして使う人々の感性やライフスタイルと一体となり、ともに息をしてきたように感じます。

「It's a Sony展」は、SONYというブランド製品だけでなく、それを使ってきた自分自身、そして「時代」をも再認識させられる空気感、力に溢れています。

製品の一つひとつからは、後世に伝えていくべき価値と責任があるという、創業者の井深大と盛田昭夫の、自信と誇りに満ちた息遣いが伝わってきました。

[撮影データ]
  〇東京・銀座 数寄屋橋 ソニービル
     平成29年2月12日まで開催 入場無料 写真撮影OK
                          2月17日からはPart-2の別内容企画

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